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パートを雇い止めした会社に茨城労働局から「あっせん」通知が届いた!

突然の「雇い止め」に納得できないパートタイマー

茨城県にあるA社は35人規模の製造業です。経営不振で先の見通しも暗いので、パートタイマーを期間満了で雇止めする方針を出しました。雇い止めとは期間の定めのある雇用契約で期間が満了になったら契約が終了することです。雇い止めの方針に従って、勤続年数が5年のパートのBさん(年齢45歳)を、本年3月13日に、経営不振を理由に、3月末日をもって契約期間満了とする、旨の通知をしました。

パートのBさんは、「急に雇い止めされても生活が困ります。定年まで雇用契約を更新してもらえるものと思っていました。会社の雇い止めは理不尽です。なんとか働かせてください。雇い止めだけはしないでください」と会社に訴えました。

それに対して会社は「一年の雇用契約だから契約期間満了で契約が終了します。契約通りですから、これは解雇ではなく、雇い止めです。できることなら雇い止めをしたくないのですが、契約を更新したくても経営状態が悪いので更新できません。経営状態が悪いことは朝礼などで数回説明をしています。予定通り3月末で雇止めにします」と説明をしました。

雇い止めであるとの会社の回答に納得できないBさんは、労働局(各都道府県にある)が個別の労使紛争として「あっせん」というものがあることを知り、茨城労働局へ雇い止めの撤回を求めて「あっせん」申請をしました。

会社は茨城労働局から雇い止めについて「あっせん」の通知が来て驚きましたが、Bさんの誤解を解くチャンスでもあると考え、茨城労働局からの「あっせん」に応じました。

「あっせん」の場では会社は雇用契約満了による雇い止めであることと会社の経営不振であるから、解雇権の乱用には当たらないと説明しました。

しかしながら、雇用契約の更新を4回も行っているので、少なくとも30日前に雇用契約の終了による雇い止めを予告すべきであることを「あっせん」として提示し、労働局が設置するあっせん委員は双方の歩み寄りを求めました。

A社はBさんに和解金を払うことで合意しました。

茨城労働局からの雇い止め「あっせん」に学ぶ会社の教訓

会社は、労働局に雇い止めのあっせんを申請するほど、Bさんの怒りが大きかったことを反省しなければなりません。

労働局からの雇い止めの「あっせん」に学ぶ教訓 ①

労働局からの雇い止めの「あっせん」に応じる義務はないのですが、労働局からの「あっせん」に積極的に応じて会社の事情を説明したことは良いことです。雇い止めについてきちんと説明をすればあっせん委員は会社の言い分も聞き入れます。

労働局からの雇い止めの「あっせん」に学ぶ教訓 ②

労働契約の更新を繰り返した場合、Bさんに次回も更新してもらえるだろうとの期待権が生じます。したがって、雇用期間満了つまり雇い止めであっても、労働基準法で定められている解雇予告を少なくとも30日前に伝えるべきでした。これは会社の落ち度です。

労働局からの雇い止めの「あっせん」に学ぶ教訓 ③

期間の定めのある雇用契約は契約を確実に更新しましょう。もし、更新を忘れてそのまま雇用を継続すると期間の定めのない雇用契約に変化します。更新をしないまま放置していたら、雇い止めではなく解雇となる可能性があります。もし、解雇をしたとされたら、あっせんはもっと会社に厳しい和解を提示していたかもしれません。

雇い止めは契約期間満了で契約が終了するものですから、解雇とは異なります。解雇であれば、解雇権の乱用などと紛糾する可能性がありますが、雇い止めは紛糾することは少ないです。ただし、雇用契約の更新を繰り返すと雇い止めであっても解雇と同様の扱いをしなければならない場合があります。

雇い止めで問題が起きないように予防するためには、それに即した就業規則や雇用契約書を作ることが肝心です。

中川清徳
茨城の社会保険労務士・中川清徳
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